2003年11月24日
運転免許を取ろう
マウイには鉄道がないし、バス停は見たことあっても路線バスは見たことない、という環境なので、クルマは一人一台ないと不自由な土地です。せめて一家に一台ないと日用品の買い物もままならない。私の運転免許についても度々話題になっていたのですが、今まで取らずにいたのは右側通行への恐怖のためでした。最初のころは助手席に乗っているだけでも怖い思いをしていたので、せめて見慣れるまでは運転は待とう、ということになっていたのです。
とは言えマウイに来て10カ月経ち、「運転できたらなあ」という状況がだんだん増えてきたので、いよいよ免許を取ることにしました。
米国内での運転免許は各州から発行されます。つまり、違う州に引っ越す場合は、引っ越し先の州で免許を取り直すことになるわけですね。私の場合はハワイ州から発行されるわけですが、流れとしては、
- 交通ルールのお勉強をする。公式マニュアル(右の写真、$4.65)はお店に売ってます。
- 免許を発行してくれる事務所に行き、視覚検査と筆記試験($2)を受ける。
- パスすると、日本で言う仮免許が与えられる。($10)
- 路上で練習。
- 実技試験を受ける。($10)
- 実技試験にパスしたら運転免許が発行される。($18)
ということになっています。
交通ルールは日本とそんなにかわりません。で、筆記試験を受けに行ったのですが、まずはカウンターで申込用紙を提出します。ちょっと緊張したのは「これにサインしてください」と渡された小さな紙に、「警察官に要求されたら血液検査に応じます」というようなことが書いてあったんですね。絶対応じないといけないのかと思って、固くなってたら、「断った場合は、一年間免許を没収されることを承知します」と続いていました。で、とにかく強制じゃないことが分かってホッとしたのでサイン。飲酒運転の疑いを持たれたとき、息だけではなくて血液も調べるらしいのですが、まあ、断ってもいいわけです。もし本当に飲酒運転だった場合は、正直に検査を受けて証拠が残ってしまって、罰金だの保険の問題だのを抱えるよりも(もしそれが事故現場でのことだったら有罪判決を受ける)、免許停止で飲酒運転の証拠は残らない方がいい、と言う人もいます。なるほどね。私は法律だからと言うより自分自身が怖いから飲酒運転はしませんが。
筆記試験のやり方は州によって違うようですが、私が行った事務所では、問題と解答用紙を渡され、部屋の隅の机で解答し、終わったら提出する、という段取りでした。問題は英語以外の言語でも用意してあるので、私は日本語で受けることに。机はパーテーションで隣と仕切ってあるものの、試験官が見張ってるわけでもなければ制限時間があるわけでもなく、問題数も30問と少な目、そのうち24問正解で合格、ということでした。
ひえー簡単じゃーん!と思ったけど、落ちたんですねえ一回目。正解は23問でした。はあ。間違えた問題のうち一つはコレ。
あなたは不注意で道路脇に停めてある自動車にぶつかってしまいました。自動車の持ち主を見付けられません。あなたがするべきことは?
答えは四択ですが、私は「警察官が来るまで待つ」を選びました。でも正解は「あなたの名前・住所と事故の状況を書いたメモを残しておく」だったのです。この話をあとで何人かとしましたが、みんな「私だったら警察官を呼ぶ」と言ってました。自分の連絡先を書いたメモなんて、通行人みんなに見られるところに残したくないですよね・・・。でもまあ、法律ではそうなってるらしいです。(写真はマニュアルから。図入りで説明してあります)
再度筆記試験を受けるには一週間待たなければいけないとのこと。一週間後の再試験では3問間違えて、でもとにかく合格しました。
仮免許
筆記試験に受かると仮免許が発行されました。左の写真がソレですが、仮免許証には実技試験の情報が印刷された紙がホチキスでガチャンとつけられています。こういう小さいところでアメリカを感じてしまうのですが、日本人だったらこんな大事そうなモノにホチキスで穴を開けたりするの、ためらいますよね。それとも私が神経質なんだろうか?それはともかく、これで免許を持った人に同乗してもらえば路上で運転していいことになりました。つまり練習期間ですね。教習所もありますが、行かなくてもいいらしい。
私は成人しているので、筆記試験に合格したあと受けたければいつでも実技試験を受けられるとのこと。試験官の意地悪加減は新聞で取り上げられるくらいなので、ちょっとオソロシイですが、しばらくは「どんなことを試験官が質問してくるか」なども含め、友人に付き合ってもらって練習することになりました。
路上で練習を始めてから、ふと気になったことがありました。日本ではオートマ車限定の免許を取ったのですが、アメリカではそういう区別はないらしいのです。実技試験はクルマ持ち込みで行われるのですが、オートマ車で練習してオートマ車でパスしたら、運転の仕方が分からなくてもマニュアル車を運転して良いということになるわけです。これってどうなの?「運転の仕方が分からないのにマニュアル車を運転する人もいないだろう」などという良識が通じるとは思えないし。
実技試験のクルマ持ち込みの件もちょっと書いておきたいのですが。もちろん試験に受かってないので、免許を持っている人に一緒に来てもらう必要があります。そして、使うクルマはちゃんと整備してあって、保険も完備したものでないといけません。つまり、試験に限らず練習中もそうなのですが、日本で仮免許での路上練習と言ったら、練習中(試験中)ということが分かるような表示がクルマにしてあって、アブナイときには教官がブレーキ踏んでくれますが、そういうことにはなってないのです。これってどうなんですかね?
あ、ついでに、日本の若葉マークのようなものもないのです。若葉マークはわずらわしい、なくていいと思う方も多いでしょうが、私はやっぱりあった方がいいと思います。ビギナーってことを周りの人に知ってもらった方が、お互い安全じゃないかしら。
・・・このコラム、別にアメリカの悪口を言うために書いてるわけではありませんが、そして、世界中でアメリカが目立って適当なわけでもないようですが、自動車免許を取るプロセスに限って言えば、日本てすばらしいと思います。日本のドライバーのマナーが誉められるわけも納得できました。自動車って私達の生活には当たり前のように入り込んでいますが、不幸にして人を殺してしまうこともあるわけで、と言うことは、免許の発行も慎重にした方がいい。私なんてお世辞にも運転がうまいとは言えないので、日本の自動車学校に行っておいてよかった、とつくづく思うこの頃です。
実技試験
免許を取ろうと筆記試験を最初に受けに行ったのは9月の初めだったのに、そしてその気になれば路上試験を受けるまでにそんなに時間は必要ないはずなのに、練習期間が思いのほか長くなってしまいました。私達の都合もあったのですが、路上試験のアポイントがなかなか取れなかったのです。
路上試験はマウイにいくつかある事務所に電話して予約するのですが、どこに電話しても「朝電話してその日のアポイントを取る」とか「週2日しか試験は実施してなくて、電話してその一週間後のアポイントしか取れない」とか、「今日は休み」とか、信じられないことばかり言われるわけです。そしてそれぞれ事情が違う。ついに取れたアポイントは11月8日でした。
路上試験を受けるまでに、試験官について悪いウワサを嫌と言うほど聞いていました。新聞の投稿欄にもときどきクレームが載ります。誰かはハンドルを握る手の位置が10時10分じゃなかったために落とされたとか。他の誰かはシートが後ろに倒れすぎているという理由で落とされたとか。通常、試験はどこかの駐車場で始まって公道へ出るのですが、駐車場を出ないうちに落とされることも珍しくないとか。誰かの奥さんは中国人で、三回受けて三回とも泣かされて、ついに中国に帰って国際免許を取ってきたとか・・・。
路上試験の当日、私はとても緊張していて、「こんなに緊張したのっていつ以来かなあ、大学入試もかなり緊張したけど、最近こんなに緊張したことなかったかも。ビザ取るときもそう言えば緊張したけど」と、解決にもならない「緊張した思い出リスト」を心の中で作ってました。余計緊張しただけでした。
さて、受付を済ませて時間が来ると、試験官は年配の日系人でした。はじめは努めて厳しそうに振る舞っていたこのおじさん、じつは面白い人だったのです。運転をする前にクルマのチェックをしたのですが、「ホーンを鳴らして」と言う彼の言葉が聞こえなかった私に「ブッブ〜!」と声を張り上げたり。出発する時も「英語は分かる?」と聞いてくれたり。試験の間も面白い話で笑わせてくれました。まま、減点するところはしっかり引いてましたが。縦列駐車がヘタクソだったものの、結果は合格。免許証を受け取って帰りました。
終わってみると、何も問題ないように思えた路上試験。試験官のあの評判の悪さはどういうわけでしょう。採点票の控えも渡してくれたし、それを見る限りではハンドルを握る位置だけで落とされるようなことはなさそうです。でも最近になって聞いた話では、友人が路上試験を受けたときの試験官は「日本の運転免許を持ってるならわざわざここで取らなくてもいいでしょう」などと嫌味を言ったらしい。なんてヤツ。私はよほど運が良かったのかもしれません。