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はみだしにっき

2008年9月21日

摩訶不思議なアメリカの医療システム

先月あたりから自分自身が何をしているかをあまり書けなくなっていたのですが、実は7月末か8月あたまに、救急車で病院に運ばれました。もう一段落したので、このところ自分の頭も心も占めていたそのことを書いてみようと思います。

えーと、まず、倒れたのは突然で、私はそれを子供の頃から繰り返しているのですが、胃が弱いんですね。で、いつも前触れがなく突然痛み始めて、吐き下してしまうのです(吐くのは毎回じゃないけど)。この前は、日曜の朝、普通に起きてご飯も食べて、教会に行って、一つお勉強会をして、日曜礼拝に出席したら、礼拝の途中でその状態になってしまいました。

で、午後からの仕事は休んで、主治医は休みだったので、同じオフィスのドクターを予約して、午後受診しました。そのときまでに痛みは猛烈にひどくなっていて、運転もできないのでタクシーを呼び、タクシーの運転手は私があまりにも苦しんでいるので、車椅子を持って来てくれたほどです。診察室に入ったところまでは話せていたのですが、そのあと呼吸困難になって、話しかけられても内容は分かるし答えようとするのに口もきけなくなってしまいました。

それで、ドクターは救急車を呼んで私を病院へ転送。ここでちょっと説明した方がいいと思うのが、多分アメリカ全体でそうなはずですが、「病院」は症状がとっても重い時や手術のために行くところなんですね。日本にいたとき、私は具合が悪ければ「病院」に行っていたし、どの病院のどの先生にかかってもよかったけど、マウイでは病院は一軒しかないし、「病院に行った」と言えば周り中が目を見開いて「何があったの!?」と聞いて来るような場所なのです。とにかく、まずは自分が持っている保険が使える医者の中から主治医を決め、なんでもそこに行くわけです。専門医が必要なときは、主治医に紹介してもらうのが普通です。日本のように病院に言って、しかるべき部門を最初から受診する、という仕組みじゃないんですね。

話を戻すと、病院では点滴を二本されて、症状が落ち着いたので、家に帰されました。盲腸炎の可能性を医者は考えたようですが、血液検査の結果、盲腸じゃないから大丈夫とのこと。でも軽くなったとはいえ二日経っても痛みがなくならなかったので、主治医を受診。そこで主治医は病院から血液検査の結果を取り寄せて激怒。血液検査は部分的なもので、それだけでは何が原因だったのか分からないとのこと。しかもスキャンもしなかったので、「どうしてそんな基本的な検査をしないで患者を帰すのかしら!」と彼女はおかんむりでした。すぐに私を超音波に送ってくれ、血液検査の手配もしてくれ、その結果、胃のモンダイは「潰瘍の原因になるバクテリアがいる」ということが分かりました。胃潰瘍になっていたのか、なりかけだったのか、ちょっとハッキリしない言い方だったけど、とにかくそれは抗生剤を飲み、症状もなくなり、しばらく薬が必要らしいけど、一安心ということになっています。

超音波では腫瘍が見つかりました。胃からは離れた場所にあったし自覚症状もないので、棚からぼたもち的に見つかったものです。で、主治医はすぐに CT スキャンを手配し、専門医を紹介してくれました。これが面倒なところで、専門医の予約が取れて受診するまで、かれこれ一ヶ月以上もかかったわけです。まま、主治医は腫瘍は繊維腫で緊急を要する物ではないと診断していたのですが、それにしてもじれったい。そんな感じで「ついに」専門医を受診したところ、診断はやはり繊維腫で、いまのところ心配ない大きさなので、定期的に大きさをチェックして、育つようなら処置しましょう、とのことでした。

「たいしたことないかもよ」と周りには言いつつ、自分では手術の覚悟をしていたので、ホッとして指輪を買ってしまった私ですが、落ち着いてみると、専門医の「次のチェックは半年後」というのがノンビリしすぎに思えて来ました。しばらく育たないならチェックの感覚を開けてもいいだろうけど、最初はもうちょっと頻繁に見た方がいいんじゃないだろうか?そもそも、良性とはいえ、あるはずじゃない腫瘍が体内にあるわけだし、何もなかったのに小さいとはいえここまで育ったわけなので、これからも育つ可能性はあるし、発見したばかりで、それがどの程度のスピードで育ったものかも分かってないわけでしょう?

・・・・・明日、ちょうどいいことに主治医と癌検診の予約があるので、このへんを相談してこようと思っています。で、専門医との予約までの間、主治医がチェックしてくれないかどうか、頼んでみるつもりです。主治医を決めるのがここがいいところなのですが、もう何年も何でもかんでも診てもらっているので、彼女に対しては知り合いのような安心感が育っているんですね。しかも今回のことでしっかり検査をしてくれたことで今まで以上の信頼感も生まれているし。もしかしたら「半年後で大丈夫」って言われるかもしれないけど、初めて会った医者だけじゃなくて、主治医もそう言うなら・・・とも思えるし。なんと言っても、病院のずさんな処置に激怒してフォローしてくれた主治医なので。

さっきも触れた保険ですが。日本では国民健康保険が徹底しているので、私は医者にかかるときにどの病院に行くか、どんな治療が必要なのか、薬が必要なのか、心配することはありませんでした。自分が深刻な病気なのかという意味での心配はもちろんあったけど、医者にかかれるか、治療を受けられるかという心配はなかったんですよね。でもいま、それが大きな心配なわけです。アメリカの医療保険は日本のように充実していないので、まずは保険に加入できるかどうかが大問題。そして自分が加入している保険で何をどこまでカバーしてくれるのかが大問題。それによっては必要な手術が受けられなかったり、検査をしてもらえなかったり、「サービス」は受けられても莫大なお金がかかったりするわけです。

例えば、今回の救急車と病院の料金は摩訶不思議です。まず、病院を出る時に清算できるわけではなく、あとでレポートが来ました。セントの位まで正確な数字はここでは不要なのでおおまかな数字を書きますが、そこには約16万円かかったと記されていて、その上で「これは請求書ではありません。保険会社と絵連絡を取り合ったあと、改めて請求書を送ります」とのこと。で、次に保険会社からレポートが来て、「サービス提供者に約8万円支払う必要がある」と書いてあって、約5万円のチェックが入っていました。ってことは、病院から改めて8万円くらいの請求書が来るけど、その中の5万円くらいは保険会社が払ってくれて、でも支払いは私が一括してしないといけないので、保険会社が私に5万くらいくれたってことだろうか?だけど差額の8万円くらいはどこにいったんだろう?と思ってたんですね。

そうしたら、病院から5千円くらいの請求書がきました。追って保険会社から、病院に5千円くらい払ってね、というような別のレポートがきました。そのレポートには最初のレポートと同じ8万円くらいと5万円くらいの数字も記載されています。じゃあ、私が保険会社からもらいすぎてる計算になってるじゃん、と思うと、今度は別の医療機関から2千円くらいの請求書がきました。それが救急車の分じゃないかと思うけど、もうわけが分かりません。その2千円くらいの数字は保険会社のレポートには載っていない。「サービス提供者」みたいな言い方も微妙で、それがどうも病院だけを指しているんじゃないんだな、というのがここで分かって来たわけです。ってことは、まだ別の機関から別の請求書がきて、トータルしたら支払い金額が8万円くらいになるんだろうか?と思って、いまは放っておいています。

以前だったら、保険会社に問い合わせていたところですが、これも5年以上ここに住んでいて、どこのサービスも日本では考えられないくらい悪い、というのを経験したからなんですね。何度バカバカしいミスをされてカスタマーサービスを怒鳴ったことか。それでもミスが治らないことが何度あったことか。だから、ハッキリ言ってしまえば問い合わせるのが面倒なのです。とりあえず、いまのところは自分がマイナスになっていないので、様子を見ています。だけど、こんなの、日本だったらありえないですよね?

物理的にはそんなこんなですが、精神的にもさすがに疲れました。私は家族や友人に本当に恵まれているし、神様にも守られているので、ムカシのように「参った」というところまではいかなかったのですが、でも疲れました。専門医とのアポイントメントの一週間くらい前は、仕事に行くのが嫌で「職場の何もかもが大嫌い気分」を何日か味わいました。その気分は何度となく味わっているけど、今回は腫瘍をどうすればいいのか分からないフラストレーションが原因でした。心配は、正直に言って、あまりしていなかったのです。超音波のあと、CT を撮るまでの何日かは初耳だったので少し不安になりましたが、そのあとは心配して治る物でもないし、と思っていました。手術が必要ならしょうがないし、とも思ったし。ただ、何も決定していないのがイライラしたんですねえ。手術するならいつなのか、どれくらい療養期間が必要なのか、手術代がどれくらいかかるのか、分からないから予定も立てられなかったし。はー、イライラしました。

・・・一ヶ月分くらいをまとめて書いたので長くなりましたが。とりあえず一段落です。気楽になりすぎるつもりも、心配するつもりもなくて、ただ、必要な注意を払おうと思っています。指輪も買ったし(笑)。心配して励ましてくれる人たちがありがたいし。その人達を心配させたくないと思うと、カラ元気じゃない本当の元気が出てくるし。神様とも、もっとお近づきになったし。あとですね、ちょうどよく職場で私の勤務状況の査定があって、五つの査定ポイントのうち二つが「基準を上回っている」、三つが「基準をクリアしている」、で「改善すべきことは特にナシ」だったんです。上司が書いてくれたコメントは「え、それ、私のこと?」と照れてしまうくらいに褒めてあって、それで「職場大嫌い」気分は一掃されました。へっへっへ。

保険の仕組みとか請求金額のこととか、本当はもっとちゃんと知るべきなんだろうし、知ったら日本と違うにしても摩訶不思議ではなくなるんだろうけど、いまのところ摩訶不思議と言っておきます。いつか納得できたらまたご報告します。

2008年9月21日

9月23日 医療システム続き

癌検診は割と楽しく進みました。婦人科系の癌検診だったので胸の触診もあるのですが、まずは看護婦に「じゃあ服を脱いでこれを着けてね」と言われた紙製ベストのようなものを後ろ前に着てしまったのです。考えてみれば先生は背中じゃなくて胸を診るわけなので、前が開いてないと意味がないんですよね。でもまあ、いつもと違って病気なわけでもないから気分も浮かれてたし、病気でも滅多に触診なんてされないから、珍しくてちょっと照れてしまったのもあるしで、私はキョロキョロニヤニヤしながら診察台で先生を待っていました。

先生ももうすることが分かっているので、気楽に入って来て、「あのね、これ、反対に着けるの」と私の紙製ベストを子供の世話を焼くように直してくれ、そんなことを二人でゴソゴソやっていたらわざわざ覆った意味がないようなことになってしまい、でももう何年もお世話になっているので、先生も「じゃあ、ちょっと部屋出るから直してね」とは言わずに息子さんの話なんかをしていました。私も別にそれでよかったし。

で、検診を受けつつ、この前受診した専門医が繊維腫の次のチェックを半年後にするって言ってるけど、それはノンビリしすぎじゃないのか?というのも聞いてみました。主治医は「そうねえ、繊維腫はそんなにすぐに変化するものでもないから、あんまり頻繁に診る必要もないんだけど、もしも不安なら三ヶ月後にここで超音波する?」と言ってくれたのでお願いしました。よかったよかった。

蛇足ではありますが、今回は先生に「潰瘍だの腫瘍だの、見つけてくれて本当にありがとう」とお礼を言ってきました。ずっと思ってたんだけど、いつも具合が悪い時に会うので、症状や薬の話をしたり、このところは検査や専門医とのアポイントメントを調整したりで頭も心もいっぱいになってしまい、お礼を言いそびれていたのです。先生はちょっと照れたように笑って「どういたしまして」と診察室を出て行きました。

話を戻して、卵巣癌のチェックに関して、また一つ疑問なことがありました。

私たちが普通に受ける検診には、卵巣癌をチェックする血液検査は入っていないんですね。でもそれを受けるべき!と友人に勧められていたので、主治医が「そろそろ年齢的に」と胸のレントゲンを勧めてくれたタイミングで、私の方からは卵巣癌の血液検査のことを聞いてみました。先生は「じゃあオーダー書くわね」とすぐに書類を用意してくれましたが、「これはオプションだから、自己負担がどれくらいになるかラボで聞いてみてね」とのこと。ところがラボに行ってみると「え?ドクターは自己負担って言ったの?」と首を捻り、どうも反応が鈍いのです。

この検査は私が聞いた話では保険でカバーされるはずなのですが、もしかしたら100%ではなくて、人によって違うのかもしれない、という気がしました。

受付「今日受けたいの?」
私「できればね。いまもうここに来てるんだし」
受付「そう、もし今日払うんだったら50%オフで30ドルちょっとだけど」
私「保険のカバーを引いた分がその額ってこと?」
受付「ドクターは自己負担って言ったんでしょう」
私「ドクターは料金についてはラボで確認してって言ったの。自己負担なの?」
受付「それは保険会社に問い合わせないと分からないの」
私「じゃあ、問い合わせてくれる?」
受付「オッケー。もしカバーしないっていう返答だったら、支払い額はディスカウントなしの70ドルくらいになるわよ」
私「それはいま分からないの?」
受付「分からないの。検査をして、書類を送って、それを診て保険会社がアナタに請求書を送るの」

・・・そんなんです。どうよ、それ?30ドルと70ドルじゃ、全然違うじゃないですか。それだったら保険会社と話すのも面倒だから(どうせまたラチのあかない会話をしないといけないと予想されるから)、と思って、一度は「じゃあいま払うわ」と言ったのですが、受付手続きをしつつ、考え直しました。もし保険がカバーするなら、30ドルとは言えわざわざ払うことないじゃないですか?ケチって言ってるわけじゃないんですよ。そのための保険なんだからさ〜。で「ちょっと、やっぱり気が変わったわ。保険会社に問い合わせてみる」と言うと、受付嬢は「そうね、その方がスッキリすると思うわ」と言いました。っていうか、アンタがスッキリさせてくれないことがスッキリしないけどね、と思いましたが、それはきっと彼女が悪いのではなく、本当にそういうスッキリしないシステムなのでしょう。

まま、血液検査はどうしてもその場で済ませないといけないものでもなかったので、ちょっと不満だったけど帰ってきました。その場で保険会社に電話してもよかったけど、なんだかヤル気が失せてしまって・・・。っていうか、彼女がそこで保険会社に電話してくれてもよさそうだけどなあ。あああああ、スッキリしない!!

2008年10月3日

10月3日 少し不思議じゃなくなったアメリカの医療

請求書が来ました。8万円くらいの。だから、保険会社からはもらいすぎていないようです。で、これが救急車の分らしいので、そうなるとあの2千円くらいは何だったのかが謎だけど、そんなに高額でもないのでいいことにします。あああ、疲れる!

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