インドネシアはイスラム教国ですが、バリ島の人々はほとんどがバリヒンズー教を信仰しているそうです。右の写真は「チャナン」と呼ばれる、バナナや椰子の葉で作ったお皿の上に花や米などを入れたお供えものですが、道路や建物の内外、車など、至るところで目にしました。これは天界の神々に捧げるために毎朝夕作るもので形も様々、忙しい人には市販品もあるそうですが、どれもきれいでかわいらしく、信仰が生活に密着しているのを感じました。
私達がバリを訪れたのは、ちょうどヒンズー教徒が新年を迎える時期。「サカ暦」という暦によって毎年日にちが違いますが、今年は3月30日がその日「ニュピ」に当たり、外出禁止、仕事は休み、ガスも電気も使わず、食事もとらず、空港も閉鎖、という徹底ぶりで、島全体が静寂に包まれる日。観光客はホテルによっては通常の生活、あるいは予約で食事が出ますが、あくまでホテル内のみ、です。はじめは四泊で計画していたのですが、そうすると帰国日がニュピにあたってしまうことがわかり、かといって日にちをずらすことも五泊することも無理だったので、仕方なくニュピの前日に三泊で帰ってくることになったのですけど。
ニュピ前日は島にいる悪霊払いのため、夕方6時半頃からオゴオゴと呼ばれる大きな張りぼての人形が島中を練り歩き(ねぶた祭りに似ています)、方々で爆竹が鳴り響きます。新月となるこの日、冥界のヤマ神が大掃除をするので悪霊が地下から追い出され地上に這い出してくるとされていて、オゴオゴはその象徴というべきでしょうか。ほとんどは「こわくて気持ち悪い」鬼の格好をしていますが、近年では動物やコミカルな表情のもの、キャラクター物なども作られていて、オゴオゴコンテストなどもあるとか。
この日はヒンズー教徒のお祭りも各地で開かれ、午後からは道路も閉鎖されたり、お店も閉まるところが多いし、タクシーも例外ではなく翌日に備えて早めにあがってしまうので、台数も少なくなります。帰国の日、夕方ホテルに迎えに来てくれた旅行社の人の「早めに出ないと僕たちも帰ってこられないしね!」というちょっと焦った雰囲気にもニュピ前日のバリが感じられました。短い日程の旅行者には不便だった反面、ニュピ体験を目的に訪れる人もいるような、世界的にも珍しい行事を垣間見られてよかったです。・・・あくまで垣間見るだけでしたが。完全に見ていては空港にもたどり着けないですからね。
ところで、「行進」が終わったオゴオゴですが。ふつうは生け贄として、悪霊払いの証として、海岸や墓地で焼かれることになるそうですが、しばらく保管されたり買い取られていくものもあるそうです。
こうしてバリのヒンズー教徒たちは島も自分自身も清めて新年を迎えるのですね。

写真は制作中と、間もなくのスタートを待つオゴオゴ。徒歩の人とバイクの入り乱れ具合・バイクの四人乗りにもご注目!右下は走行中に発見した犬のオゴオゴです。