この映画を見るまで知らなかったことがたくさんありました。シエラレオネ共和国という国がアフリカにあること。そこで20世紀末に内戦があったこと。そこでダイヤモンドが採れること。ダイヤモンドは武器調達の資金源になるので、闇取り引きされていること。そのために犠牲になった人が大勢いること・・・・・。それらのダイヤモンドが「ブラッド・ダイヤモンド」と呼ばれていること。
で、見ている間中、ダイヤモンドを持っていることに罪悪感を感じたり、でもダイヤモンドそのものは悪くなくて、それを悪用する人間がいけないわけで・・・と思い直したり、私が持ってるダイヤモンドなんて、高額で取引されるダイヤをカットする時にできた屑程度だけどね、とおかしくなったり、持っているダイヤの大小がそのまま罪の大小とも言えないんだろうけど、と思ったり。・・・そう、やっぱり罪悪感を感じました。何も知らずにダイヤをうっとりと眺めていた自分を、この国でダイヤの犠牲になった人たちはどう思うだろうと考え、私と彼らの間にあるギャップに呆然となりました。だから、ディカプリオがこの仕事をしたことに感謝しています。ディカプリオじゃなかったら見ていなかったかもしれないので。役者の仕事って、すごいですね。
登場人物は私よりもずっとシリアスな葛藤を抱えていました。ジェニファー・コネリー演じる女性記者マディーは、戦争犠牲者の不幸を記事にすることにウンザリしながらも、ダイヤの密輸ルートを突き止めるために取材を続けている。ディカプリオは元傭兵のダイヤ密輸業者ダニーを演じていますが、彼が両親の悲惨な死を語った時にこう言います。「ときどき思うんだ。神は俺たちが互いにしたことを許してくれるのかって。で、あたりを見回して気付くんだ。神はとっくの昔にこの地を去ったんだってね」。ブラッド・ダイヤモンドの犠牲者である漁師ソロモンを演じるのはジャイモン・フンスー。ソロモンはこう言います。「白人が俺たちのダイヤを欲しがるのは分かる。だけど、どうして俺の国の人たち同士が互いにこんなことをするんだろう」。反政府軍の指揮官の言葉はその問いへの答えになるかもしれません。「お前は俺を悪魔と思うだろうが、それは俺が地獄に生きているからだ。ここから脱出したいんだ」。・・・だけど、じゃあ、なんでそもそもそこは地獄になったのか。堂々巡りでみんな悲しい。
悲しいんだけど、そういう葛藤さえ小さなつぶやきとしてかき消されてしまうほど、戦闘シーンは悲惨だし、感傷に浸るヒマもありません。ソロモンの息子ディアが少年兵に仕立て上げられる過程もむごくて目を背けたくなります。そんなアフリカの国で、立場の異なる人たちが、一つのダイヤモンドを巡って、それぞれの利益を追って右往左往するわけです。ラストは・・・・。一番純粋な者を神は守ってくださったということでしょうか。不純だった者も、純粋な者に触れることで不純になる前の自分を取り戻し、魂は救われたと言えるでしょうか。だけど、大勢が虚しく死んでいった光景は、何と言えばいいか分かりません。登場人物は架空でも、実際にああいうことが行われていたと思うとね。
・・・・・ところで、主演のディカプリオの訛った英語は、なんというか、耳障りというか、面白かったんだけど嫌でした(笑)。それがアフリカ人が実際に話している英語なんだろうし、それを聞けたのは面白かったし、そんな風に役作りをしたディカプリオをすごいな、とも思うけど、でも嫌でした(笑)。なんででしょうね、英語の訛そのものは悪いことじゃないんだけど、なぜか教育をきちんと受けていないような、あるいは品がないような、そんな風に聞こえてしまうときがあるんですね。自分がたどたどしく英語で話す時に「あああ、こんな話し方じゃ、あんまり頭がよろしくないと思われてるんだろうなあ」と思ってウンザリするときがありますが、そんな感じ。うーん、でもそれも一理あるかなあ。勉強しないと母国語でさえきちんとは話せないわけだから、ある言語をきれいに話せるということは受けた教育のバロメーターの一つになり得ますかね。
と思っていたら、ディカプリオ自身が訛について触れているインタビューの画像が YouTube にありました。普通にきれいな英語を話しているディカプリオを見るとやっぱりホッとする(笑)。彼は「アフリカの景色や習慣だけじゃなくて、軍人たちの訛が自分には無縁のものだったので、そこに自分を溶け込ませないといけなかった。最初は英語でも訛のせいで何を言っているか分からないこともあった」と言っています。アフリカ出身の傭兵という役作りのために地元の人たちと飲んだり、ミリタリーの訓練を受けたことも言っていますが、話の感じだと訛が特に印象的だったようです。
ほかには、ジャイモン・フンスーがディカプリオを担ぐシーンを撮るときに監督が「もっと大変そうに担いで」と何度も注文したこと、この作品のように社会的なメッセージを含む作品と娯楽性の強い作品と、どちらにも出ていたいことなどを話しています。
ディカプリオ、ワイルドでよかったです。うまかったです。映画も、とてもよかったです。シエラレオネ共和国は、現在は平和だそうです。国連の努力があって、現在はブラッド・ダイヤモンドはずいぶん減ったようですが、不法に取引されているダイヤモンドはまだ存在するようです。そして、(映画が製作された時点で)まだ20万人ほどの少年兵がアフリカにいるそうです。