これは超ガッカリ映画でした。どうも嫌な感じがしてずっと見てなかったんだけど、やっぱり失敗作だと思う。歴史娯楽映画?とかなんとか言われてるみたいですが、「仮面の男」なんていい題材を扱っていて、いくらでもいい映画ができたはずなのに、歴史映画としてもコメディとしても娯楽物としてもあとなんだ?サスペンスとしても推理物としても中途半端で、何を作ろうとしたのか全然分かりませんでした。ディカプリオも良さを出せてなかったと思うし。双子の対照的な役を演じ分けるっていうのが面白いはずだけど、そういうことになってなかったですね。いやまあ、私にとっては、ですけど、面白くなかったです!
つまらないので、実際の仮面の男にまつわる話を面白がっておこうかと思います。
映画はアレクサンドル・デュマの小説(三銃士シリーズ)をゆる〜くベースにしているようですが、私はその小説を読んだことがないので、どの程度沿っているのかは分かりません。とりあえず、太陽王と呼ばれたフランス王ルイ14世の時代に、 仮面の男は実際に存在したのです。彼はベールを被され、バスティーユに収監されていました。囚人ではありますが、監獄長自らが丁寧に世話をしていたことなどから貴人だったと言われています。その囚人の身元に関しては当時から様々な憶測が飛び交いました。
映画「仮面の男」では、ディカプリオが太陽王ルイ14世と、囚人番号64389000の仮面の男=双子の弟フィリップを演じました。

上の肖像は、左がルイ14世(1638-1715)、右は弟のオルレアン公フィリップ1世(1640-1701)です。映画ではルイ14世の双子の弟フィリップが投獄されていましたが、現実のルイ14世には二歳下の弟フィリップがいて、公爵として檻の外で暮らしていました。女装好きのかなりおかしな人だったようです。

こちらは二人の両親、14歳同士で結婚したフランス王ルイ13世(1601-1643)とアンヌ・ドートリッシュ(1601-1666)。結婚生活はうまくいかず(もちろん政略結婚です)、ルイ14世はなんと結婚23年目にできた跡継ぎでした。それまでにアンヌ王妃は四度の流産を経験していて、初めての懐妊ではありませんでしたが、まあ、お互いに愛人がいたり、ルイ13世がアンヌの実家ハプスブルグと戦争を始めたりで、二人の関係は冷えたものでした。王妃がルイ14世を身ごもったのも、別居状態だった王が嵐のせいでしょうがなく王妃のもとに泊まったからというのです。正当な跡継ぎを残すためとはいえ、王族ってそういうことまで世間に知られてしまって気の毒ですね。ただ、このへんの事情や、美貌の王妃に浮いた噂が絶えなかったことなどから、ルイ14世がルイ13世の子ではないという噂も立ちました。映画「仮面の男」はそのへんも(うまくなく)使っています。
そうそう、映画が引用というかベースにしている有名な話がもう一つあります。ルイ14世がクリスティンという女性を自分のものにするために彼女の恋人を戦地に送って死なせてしまうのですが、それは旧約聖書に出てくるダビデ王とバテシバの有名な話に沿っています。殺されたバテシバの旦那がすごくいい人なので、私はよく彼のことを考えて悲しくなるんですけど、とにかく、いい題材なんですよ。この映画ってそういう話も使ってたり、引退した三銃士が出て来たり、面白くなっていいはずだったのになあ。・・・それとも面白かったのかなあ。謎?????
終わりに近づいたところでちょっと身を乗り出しましたが、結末は書かない方がいいですよね。って、文句をいいながらさんざん内容を書いてしまったようですが。うーん、最後のダルタニヤンもちょっと納得いかなかったなあ。うーん、うーん、最後の最後のルイ14世に関するコメントも失笑するしかなかったけど、まあ、しょうがない。うーん、いくらディカプリオが出てるとはいえ、二度と見たくないです。