ボーイズ・ライフ

1993年アメリカ、115分

原作:トバイアス・ウルフ
監督:マイケル・ケイトン=ジョーンズ
出演:レオナルド・ディカプリオ、ロバート・デニーロ、エレン・バーキン

2008年9月25日

むううううう。不完全燃焼な映画でした。始まりは割と楽しめたのです。大したドラマもないけど、おっとりとしていて可愛い感じで。ところが映画の大部分は継父の暴力に耐え続ける少年を見続ける少年の出口のない日々のままに、出口のないイライラした気分を味わうことになってしまいました。

レオナルドが演じた少年トビーの母親は、男運が悪いというかフラフラしているというか、男から男へ、街から街へ転々とする生活で、息子のトビーも母親と一緒に転々としています。二人の暮らしは豊かとは言えないし、トビーは決して素行のいい少年ではなく、学校でモンダイを起こしたりするのですが、それでも二人は仲がよく楽しそうです。

それが一変したのが、母親がロバート・デニーロ演じるドワイトに出会ったとき。ドワイトは見ている誰もが呆れるような、作り物の紳士ぶりで自己満足しているような男性で、だけどどういうわけかトビーの母親は彼との結婚を決めます。もちろん生活を安定させたい思いもあったのですが、好きな気持ちもあったようなんですよね、何故か。彼らの結婚前に母親抜きでドワイトと彼の子供達と生活したトビーは、ドワイトの紳士ぶりはうわべだけで、実際は品のない自己顕示欲の強い暴力的な男だということを知ります。それを母親に話せばよかったのに、そういうシーンはなく、母親はドワイトと結婚してしまいます。母親は結婚後にドワイトの正体を知るのですが、それでもなんとか結婚生活を成功させようとし、母と息子の試練の日々が始まるわけです。

それでね、ロバート・デニーロはうまかったんです。あの人の悪役ぶりはいつでも素晴らしいですが、この映画でも例外ではありません。結婚前のニセ紳士ぶりも気持ち悪くてうまかったし、正体を見せた時の豹変ぶりも気味が悪くてうまかった。自己満足ぶりも、本当は教育も品もなくて、そういうことにコンプレックスを抱いている感じ、だからこそ家族に威張り散らしている感じも、目を背けたくなるほど嫌らしくてうまかったんです。

ディカプリオもうまかった。母親もよかった。トビー少年とは合いそうもないのに何故か仲良くなったホモセクシュアルっぽい男の子もよかったです。不良少年トビーと品行方正な彼が並んでピアノを弾くところなんか、そのまま二人の愛情物語になったらいいのに、と思うほどでした。(この友人を演じたのはジョナ・ブレックマンという俳優で、いい味出してました)

だけどね、ドワイトの横暴に我慢に我慢を重ねたトビー少年と母親の、決着の付け方が物足りなかった!(もうずーっと昔の映画だから書いちゃうけど、結末を知りたくない人は読まないでください)。追いつめられた二人のうちどちらかがドワイトを殺しちゃうとかね。逆にドワイトの暴力が行き過ぎてトビーが重傷を負って、ドワイトは逮捕されるとかね、そういうことになってもおかしくないほど緊張感が高まるんだけど、結局二人はドワイトを残して家を出るだけなんです。もともと転々としていた二人なので、それは一大決心には見えなかったし、それならそこまで我慢しないでもっと早く家を出ればよかったのに、と思ったし、こういう結末なら、見てるこっちもドワイトの気持ち悪さにここまで耐えなくてよかったと思ったし。あああ、消化不良!

まま、これは実在の人物の自伝を映画化したものなので、殺人事件に発展しなかったのはよかったんですけどね。そのかわり、ドワイトに(ちょっと子供っぽい言い方をすれば)バチがあたることもなく終わったわけで、じゃあ何が言いたかったんだろう?みたいな気分が残りました。原作者の大ファンなら「わー、あの人、こんな大変な少年時代を送ったんだ」と思うだけで感慨があるかもしれないけど、私はこの人を知りもしないし。あああ、気持ち悪かった!

最後の最後でちょっと楽しい気分になれたのは、母親と一緒にドワイトの家を出たトビー少年が大喜びするシーン。この映画はディカプリオが自閉症の少年アーニーを見事に演じた「ギルバート・グレイプ」と同じ年に、先に公開されたのです。で、喜ぶトビー少年の動きが、自閉症のアーニー少年だったんですね。映画の中でそこだけ。で、もしかしてこのころにはディカプリオはアーニー少年作りをしていたのか、もしくはアーニー少年になりきっていたのか、なんてことを考えました。それは楽しかったけど、最後にドワイトから解放されたトビーと母親を見て「よかったね〜!」と思ってスッキリ見終わる、という気分には全然なれませんでした。あー疲れた!

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